ポルシェ、苦境に直面――EV不振で大規模リストラ、中国市場の変動が引き金に
2024年は自動車業界にとって大きな転換点だった。特にEV市場の競争は激化し、ドイツのフォルクスワーゲングループは厳しい状況に直面している。その中でもポルシェは、EV市場の低迷と中国市場での販売減少により、大規模な人員リストラを発表した。この事態は、同社のEV戦略の抜本的な見直しが求められている。そして、この問題はポルシェ単体の問題にとどまらず、自動車業界全体に波及する可能性がある。
【ポルシェの難題】
ポルシェの次の動きを考察するには、事態を実際に総括してみることが必要である。各要素を見ていく。
1.ポルシェの人員減らし ポルシェは、運営コストを抑えるため、一部の部門で1,900人の人員削減を予定していると発表した。これによりスタットガートの大規模な工場にも影響が出るとみられる。
2.EV市場の悪化 EVの市場自体が失逝しつつあり、次のステップの再検討を作る必要がある。
3.中国でのシェア減 中国市場でのポルシェの販売は28%も減少しており、この背景には、中国国内メーカーの台頭が顕著であり、中国政府の自動車政策により外国メーカーが競争しにくい状況が生まれている。中国政府はEV市場を強力に支援し、補助金政策や規制を通じて地元メーカーの成長を後押ししている。その結果、フォルクスワーゲンやポルシェなどの外国メーカーは価格競争や市場シェアの低下に直面しており、中国市場での生存戦略を見直す必要に迫られている。
【トランプ関税の影響】
トランプ前大統領の対中関税の対応で、中国EVメーカーは若干の影響を受けている。これはポルシェのようなメーカーにとっても不確実性を増やしており、燃費コストや関税制御の影響を受けることで、将来の方向性が決まってくる。今後関税がさらに強化されれば、中国政府の方針も変更せざるを得ない可能性があり、海外メーカーも米国内生産へとシフトする必要がある。また、日本の自動車メーカーもアメリカでの生産強化を迫られる状況となる。トヨタ、ホンダ、日産といった主要メーカーもすでに北米市場における工場の拡充やサプライチェーンの見直しを進めている。トヨタはケンタッキー工場の生産能力を増強し、新たなEV・ハイブリッド車の製造を強化している。ホンダはオハイオ州の工場をEV生産のハブとして再編し、GMとの提携を通じた北米EV戦略を推進している。日産も米国の生産拠点であるテネシー工場のEV生産ラインを拡張し、バッテリー供給網の強化に取り組んでいる。今後の関税政策次第では、これらの対応をさらに加速させる必要があるだろう。
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