Praga Bohema: 日本未上陸のチェコ発ハイパーカー、その驚異的な性能と輝かしい歴史
**プラガ(Praga)**という名を聞いてピンとくる日本人は少ないかもしれません。しかし、このチェコ共和国のメーカーは、自動車産業において100年以上の歴史を誇り、近年はレースカーやその技術を応用したハイパーカーで世界を驚かせています。今回は、プラガが手掛ける究極のハイパーカー「プラガ・ボヘマ(Praga Bohema)」の詳細と、その背後にある輝かしい歴史に迫ります。
プラガ・ボヘマの概要:ロードカーとレーシングカーの融合
2024年12月、プラガ・ボヘマの最初の市販車がオランダで顧客に引き渡されました。このモデルは、わずか89台限定で生産され、その価格は約1億8000万円(1.43百万ユーロ)にも上ります。89台という生産台数は、1933年の「チェコスロバキア1000マイルレース」での歴史的な勝利89周年を記念したものです。
主な特徴
- エンジン:日産GT-Rの3.8リッターV6ツインターボエンジンを英国リッチフィールド社がチューニング。700馬力を発揮し、ドライサンプ方式とチタン製エキゾーストシステムを採用。
- 軽量設計:カーボンファイバー製モノコックとボディパネルにより、重量は約1,043kg(2,300ポンド)。
- エアロダイナミクス:F1チームの風洞実験で開発された空力設計は、時速250kmで約900kgのダウンフォースを実現。
- サスペンション:プッシュロッド式調整可能ダンパーを採用し、走行安定性と快適性を両立。
- ブレーキ:6ピストンキャリパーとカーボンセラミックローターを装備。
プラガの歴史:チェコの誇りとモータースポーツの伝統
1907年創業:軍需産業から自動車へ
プラガは1907年に設立され、当初は軍需製品を手掛けていました。しかし、1920年代には自動車製造に進出し、乗用車、トラック、バイクの生産を開始。特にプラガ製トラックは耐久性と信頼性で評判を得ていました。
モータースポーツへの参入
プラガは1930年代からモータースポーツで成功を収め、1933年の「チェコスロバキア1000マイルレース」での勝利がその象徴です。このレースでの勝利は、同国の自動車技術力を世界に示す出来事でした。
レースカー開発とR1R
2010年代に入り、プラガはレースカーの開発に注力。2016年には初のロードカー「R1R」を発表しました。このモデルはレーシングカーから派生したプロトタイプで、1台のみ生産されました。R1Rで得た知見を活かし、7年の開発期間を経て誕生したのが今回の「ボヘマ」です。
プラガ・ボヘマの性能と実用性
圧倒的なパフォーマンス
プラガ・ボヘマは「GT3マシンに匹敵するラップタイム」を公称しており、公道走行が可能な車としては異例の性能を誇ります。
- 加速性能:0-100km/h加速はわずか2.3秒。
- 最高速度:317km/h。
- コーナリング性能:横方向加速度は最大2Gに達する。
実用性を兼ね備えたデザイン
驚くべきことに、これほどのハイパフォーマンスを持ちながら、実用性も考慮されています。車体側面の収納スペースには、専用設計のラゲッジバッグが収まる仕様となっています。
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