三菱の逆襲?7人乗りSUVの隠れた本命、2025年型アウトランダー徹底解説
三菱自動車と聞いて思い浮かぶのは、かつての「ランエボ」や個性派ミニバン「デリカD:5」かもしれません。しかし、現在の三菱を支えている真の“フラッグシップ”モデルは、SUV「アウトランダー」です。2025年モデルとして登場した新型は、意外にも高級感に満ち、さらに7人乗りという独自の特徴を武器に競合との差別化を図っています。
ただし、その前に立ちはだかるのが、米国市場における輸入車関税強化という現実。この記事では、2025年型アウトランダーの魅力を徹底解説するとともに、激化する国際情勢の中で三菱がこのクルマを通じてどう戦っていくのか、その可能性も読み解いていきます。
第1章:三菱がアウトランダーを“フラッグシップ”と呼ぶ理由
三菱のラインアップの中で、アウトランダーは異色の存在です。日産と共有するプラットフォームを使いながら、独自のデザインや7人乗りというユニークなパッケージで仕上げられています。ミドルサイズSUVに近い存在感を放ちながら、実際にはコンパクトSUVに分類され、価格も比較的抑えめ。まさに“合理と実用のバランス”を体現したモデルといえるでしょう。
第2章:洗練されたデザインとプレミアムな装い
2025年モデルではフロントとリアのデザインが刷新され、クローム加飾や20インチホイールが与えられることで、上質感が大きく向上しました。トヨタRAV4やホンダCR-Vと並べても、ラグジュアリー感では引けを取りません。
ムーンストーングレー×ブラックルーフの2トーンカラーも新たに採用され、都会的なセンスと存在感を両立しています。
第3章:国産SUV離れしたインテリア
三菱はアウトランダーの内装を徹底的に作り込んできました。ダッシュボードにはソフトタッチ素材を多用し、上級グレードにはキルティング加工のセミアニリンレザーを採用。ヤマハ製の12スピーカー/1650W出力のプレミアムオーディオは、視覚的にも聴覚的にも印象的です。
この価格帯でここまで高級感を演出しているSUVは数少なく、まさに「乗って驚く」クオリティです。
第4章:クラス唯一の3列シートがもたらす独自性
アウトランダーは2025年時点で、唯一3列シートを標準装備したコンパクトSUVとなりました。フォルクスワーゲン・ティグアンが3列目を廃止したため、この特徴はさらに際立ちます。
もちろん、3列目はあくまで“非常用”で大人にはやや窮屈ですが、2列目はスライド機構もあり、快適性は十分。ラゲッジスペースも、3列目使用時で2個、収納時には10個のキャリーケースを積載可能と、日常とレジャーの両立が可能です。
第5章:静かで快適な走行性能、だがパワーは控えめ
搭載される2.5L自然吸気エンジンは181psを発生。0-60mph加速は8.5秒で、ライバルのターボモデルに比べれば非力です。ただし、街乗り中心の利用では不足を感じにくく、CVTとの組み合わせでスムーズな走りを実現しています。
特筆すべきは静粛性。追加された吸音材や構造改良により、車内のノイズレベルは旧型比で明確に減少しており、家族との会話や音楽鑑賞が快適に楽しめます。
第6章:燃費性能は平均的、しかしPHEVで一変
🛣️ ガソリンモデルの燃費(AWD)
-
市街地:24 mpg ≒ 約10.2 km/L
-
高速:31 mpg ≒ 約13.2 km/L
-
総合平均:26~27 mpg ≒ 約11.1~11.5 km/L
この燃費性能はクラス平均レベルですが、特筆するほどではありません。
⚡ PHEVモデル(プラグインハイブリッド)の燃費と実用性
2025年型アウトランダーPHEVは、EV航続距離・燃費性能ともに大きな魅力を備えています。
-
EVモード航続距離:約61 km
-
MPGe(ガソリン+電気):64 MPGe ≒ 約27.2 km/L相当
-
ガソリンのみ:26 mpg ≒ 約11.1 km/L
-
総航続距離(充電+給油):約676 km
また、充電時間は:
-
レベル2(AC200V):約6.5時間
-
急速充電(CHAdeMO):約38分で80%充電
都市部ではEV、郊外や旅行ではHVとして使い分けできる、非常に合理的なシステムです。
第7章:装備と価格のバランス
テスト車はプレミアムパッケージやローンチパッケージ、2トーン塗装などを含めたフル装備仕様で、価格は約45,930ドル(約710万円)に到達。装備内容を考慮すれば納得の価格ですが、性能面だけを見るとマツダCX-50やトヨタRAV4ハイブリッドの方が動力性能は優れています。
「装備・快適性・デザイン重視」ならアウトランダー、「走り重視」ならライバルという選び方になります。
第8章:米国関税のリスクと三菱の戦い方
2025年春、米トランプ政権は日本車に対して最大24%の追加関税を導入。三菱はこれを受けて、アメリカ市場での車両供給を一時停止するなど、緊急対応に迫られています。
この事態により、以下の影響が予想されます:
-
米国市場での価格競争力の低下
-
販売台数の減少
-
利益率の悪化とブランドの選択肢外化
三菱はどこまで戦えるか?
三菱が取れる選択肢は以下の通り:
-
他市場(アジア・欧州・オーストラリア)への販売シフト
-
日産との技術連携を活かした開発コスト削減
-
北米市場での現地生産拡大による関税回避
-
EV・PHEV戦略の強化による付加価値アップ
アウトランダーPHEVは北米で評価が高く、充電インフラ整備が進む地域ではセールスの柱となる可能性があります。今後のカギは、「どこで売るか」「何を強みとするか」の明確な戦略です。
第9章:向いている人・向かない人
向いている人:
-
子育て世代(3列目の利便性)
-
上質な内装と静粛性を求める人
-
通勤+週末レジャーに使いたい人
向かない人:
-
スポーティな走行性能を重視する人
-
車両価格に対してエンジン性能を求める人
-
年間走行距離が極端に少ない単身世帯
第10章:結論 ― 想像以上に“よくできた”1台
三菱アウトランダーは、スペックだけでは伝わらない「居心地の良さ」と「装備の充実」が魅力のSUVです。特にPHEVモデルの実用性と静粛性は特筆すべきで、ガソリン高が続く今だからこそ注目されるべき存在です。
一方で、米国関税の影響により今後の展開は楽観できません。アウトランダーは三菱にとって“製品力と経営戦略が問われる象徴的な車種”であり、この先の命運を握る存在になるでしょう。
📌補足:
-
ガソリンモデル燃費:最大13.2km/L(高速時)
-
PHEV航続距離:EVモード61km/総航続676km
-
価格帯:$31,000〜$45,930(約480万〜710万円)
-
唯一の3列コンパクトSUV(2025年現在)
コメント