SUVでもワゴンでもない!?クラウンエステート(Crown Signia)が魅せる独自の世界
2025年型トヨタ クラウンエステート(Crown Estate、米国名:Crown Signia)は、トヨタの伝統を受け継ぐ、カテゴリーに収まりきらないユニークな車だ。ヴェンザの後継モデルとして登場したクラウンエステートは、ワゴンと呼ぶには背が高く、SUVと呼ぶには背が低い。走りはクラウンセダンに近いが、実用性はRAV4にも匹敵する。そして、ベース価格は45,000ドル(約675万円)と一般的なクロスオーバーよりも高額だが、競合モデルよりも明らかに高級感がある。
こうした独自のデザインには多くの魅力がある。見た目は美しく、機能的にも優れた部分が多いが、一方でターゲット層を明確に絞りにくい部分もある。レクサスほどの高級感はないが、価格はレクサスに近く、RAV4の購買層には少し手が届きにくい。合理性を超えた個性を持つこの車は、決して完璧ではないが、それでも魅力的な存在である。
現在、クラウンエステート(Crown Signia)は日本では未発売だが、その高級感と独特なデザインから、日本市場での販売を期待する声も多い。
クラウンエステート(Crown Signia)の概要
項目 | 仕様 |
---|---|
エンジン | 2.5L 直列4気筒 |
出力 | 240馬力 / 178 lb-ft(約241Nm) |
燃費 | 市街地39mpg / 高速37mpg / 合計38mpg |
ベース価格 | 44,985ドル(約675万円) |
テスト車価格 | 52,585ドル(約790万円) |
販売開始時期 | 現在販売中(米国) |
クラウンエステートの最大の特徴は、そのスタイリングと快適な乗り心地だ。車高はわずか6.7インチ(約17cm)と低く、全高は64インチ(約163cm)。ホイールベースは112.2インチ(約285cm)とRAV4より6インチ長い。細身のルーフラインがワゴンのようなシルエットを生み出し、クロスオーバーらしさとスポーティなデザインを両立させている。
特にリミテッド(Limited)トリムでは、21インチの大径ホイールを装着。テスト車の「ブロンズエイジメタリック」塗装と相まって、コンセプトカーのような外観に仕上がっている。トヨタ車でこれほど目を引くデザインは珍しい。
インテリア:レクサス級の高級感
内装の仕上がりは驚くほど豪華だ。全席レザーシートを標準装備し、前席にはベンチレーション機能、ドライバーにはヒーター付きステアリングホイールを備える。ローズゴールドのアクセントやシンプルながら洗練されたセンターコンソール、12.3インチのタッチスクリーン(Apple CarPlay & Android Auto対応)も完備。さらに、物理ボタンを採用した空調やオーディオの操作性も評価できる。
この装備内容で44,985ドル(約675万円)の価格設定は、アキュラ RDXやインフィニティ QX50といった高級SUVよりも数千ドル安価。しかも、使い勝手の良いインターフェースを備えている点も魅力だ。
【長所】
- レクサス級の高級感
- 快適な乗り心地
- ロングドライブに最適
走行性能と快適性
クラウンエステートの乗り心地は、現代のクロスオーバーとしては独特だ。特にサスペンションのチューニングが「ソフト寄り」で、ボディロールもやや大きめ。ブレーキング時のピッチングも見られるが、それがかえって心地よい。最近の車はハンドリング重視で硬めのセッティングが多いが、クラウンエステートはあえてリラックスした乗り心地を提供している。
一方で、全高の低さゆえにヘッドルームが若干制限されている。特にリミテッドトリムでは、パノラミックガラスルーフが標準装備され、さらに1インチ(約2.5cm)ヘッドスペースが減少する。身長185cmの筆者でもギリギリだったため、高身長の人は注意が必要だ。
エンジン&燃費性能
搭載されるのは、2.5L 直列4気筒エンジンと全輪駆動のトライモーターハイブリッドシステム。出力は240馬力だが、加速性能は控えめで、0-60mph(約0-97km/h)は約7秒とされる。
また、エンジンの音がやや粗く、加速時にうなるような音がするため、高級感を損なう点が気になった。ジェネシスGV70 2.5TやBMW X3、アウディQ5などと比較すると、パワートレインの魅力はやや見劣りする。
その代わり、燃費性能は抜群。EPAの評価では市街地39mpg、高速37mpg、合計38mpgとなっており、実際のテスト走行でもそれに近い数値を記録した。
【短所】
- 加速が遅く、エンジン音がうるさい
- ヘッドルームがやや窮屈
- 価格がやや高め
まとめ:唯一無二の存在
クラウンエステート(Crown Signia)は、まさに「ユニークな選択肢」だ。クロスオーバーの実用性とワゴンのスタイリング、高級車の快適性を併せ持ち、独特な魅力を放つ。しかし、スポーティな走りを求める人には物足りないかもしれない。
日本ではまだ未発売だが、その個性的なデザインと快適性から、多くのファンが登場を期待している。
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