Subaru WRX S210 Prototype: STIの新しい方向性
日本の自動車製造業の中でも特に高性能車分野で世界的な名声を築いてきたスバル。WRX STIは、このブランドの謎と魅力を象徴する一大要素となっていました。2025年に公表されたWRX STI S210プロトタイプは、その魅力を継承しつつ、新しい時代への移行を示す方向性を表現しています。
S210 Prototypeの特徴
日本のトークオートショーに先駆けて公表されたWRX STI S210プロトタイプは、STIパフォーマンスディビジョンが開発した最新のフルスペックモデルです。この新型STIは、従来の魅力を維持しながらも、手動トランスミッションは採用されていません。これに代わり、Subaru Performance Transmissionと呼ばれる特別なCVTが搭載されています。
エンジンの改良
S210は2.4リッターターボ・フラットフォーエンジンを搭載し、通常型WRXの271馬力から、296馬力と277lb-ftのトルクへと向上しています。この性能向上は、特殊なECUチューニングや、改良された吸排気システムの効果によるものです。ただし、前世代STI S209の341馬力には及びません。
シャシーや特徴
シャシー面では、鍛造BBSホイールにMichelin Pilot Sport 4Sタイヤが装着され、サイズは255/35R-19となっています。ブレーキ系統はBrembo製で、パッドや赤色に塗装されたキャリパーが採用されています。内装ではカーボンバックのRecaroシートや、マイクロスエード布で仕上げられたアームレストなどが目を引きます。
WRX STIの歴史の回顧
始まりと突破
1992年に登場した初代WRX STIは、ラリー・アートサーキットを基盤として設計され、ラリーグループAでの成功を目指して開発されました。その結果、WRX STIはラリーの舞台で数多くの栄冠を手に入れ、スバルの高性能車としての地位を確立しました。
成長と革新
2代目WRX STI(2000年–2007年)は、さらに進化したパフォーマンスと洗練されたデザインを特徴として登場しました。この世代は、スバルの象徴ともいえる「ブルーとゴールド」の配色をまとい、世界ラリー選手権(WRC)で数々の勝利を収めました。また、STIバージョンは高性能エンジンや専用のサスペンションシステムを搭載し、より多くのファンを魅了しました。
グローバル展開と成功
3代目(2008年–2014年)はハッチバックスタイルが採用され、より実用性が高まりました。この世代は、日常での快適性とスポーツ性能を両立させるモデルとして進化しました。特に日本国外での販売が好調で、STIブランドの知名度をさらに押し上げました。
現代のWRX STI
4代目以降のWRX STI(2014年–)は、セダンボディに戻り、最新のテクノロジーを採用することでさらに進化を遂げました。高性能なエンジンに加え、アクティブトルクベクタリングや高度なドライバーアシスト機能を搭載し、安全性とドライビングプレジャーを両立させています。
WRX STIはその誕生以来、パフォーマンスカーの象徴として進化を続け、数多くのファンを魅了してきました。今回のS210プロトタイプは、その歴史と伝統を継承しながらも、新しい時代に向けた挑戦を示しています。このモデルがどのように受け入れられるか、今後の展開が楽しみです。
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