スーパーチャージャーの興亡：馬力戦争を引き起こし、歴史上最もクールな車を生み出したテクノロジー

スーパーチャージャーの興亡：馬力戦争を引き起こし、歴史上最もクールな車を生み出したテクノロジー

スーパーチャージャーの起源は、実用的な内燃エンジン車が登場する何十年も前に遡ります。フィランダーとフランシス・ルーツ兄弟が開発した「ルーツブロワー」は、元々は水車の改良を目指したものでした。彼らは、2つの羽根車を噛み合わせて逆方向に回転させる機構を開発しました。この機械がテスト中に帽子を吹き飛ばしたことで、空気を効果的に移動させる能力に気づいたと言われています。

ルーツブロワーは1860年に特許を取得し、フィランダーによる原図には2つ、3つ、4つの羽根を持つインペラーが描かれていますが、原理はどれも同じです。低圧の流体（空気など）は一方の端から入り、2つのインペラーの回転によりシステム内の圧力が上昇し、反対側から流体が押し出されます。この回転により流体が逆流することはありません。当初、このブロワーは製鉄所や鉱山の換気システム、ニューヨーク市の初の地下鉄システムで使用されました。

スーパーチャージャーの誕生と進化

1870年代、ドイツの発明家ヘンリック・クリガーは、2つの螺旋を使用したツインローターのエアコンプレッサーを設計しました。これもまた、当初は自動車や内燃エンジン用ではありませんでした。しかし、エンジニアたちはすぐにその可能性に気づきました。ルドルフ・ディーゼルは1890年代後半の彼の圧縮点火エンジンにルーツ型スーパーチャージャーを使用し、20世紀初頭には様々なエンジニアが初の過給四ストロークガソリンエンジンを開発しました。

スーパーチャージャーの利点は今も昔も同じです。燃焼室に多くの空気を送り込むことで、より多くのパワーを生み出せます。スーパーチャージャーはエンジンからベルトで駆動され、コンプレッサーを回転させます。

第一次世界大戦の勃発はスーパーチャージャーの開発を加速させました。BMWは自然吸気直列6気筒エンジンを好みましたが、メルセデスはルーツ型スーパーチャージャーを使用しました。戦後、メルセデスは初のスーパーチャージャー搭載の市販車、6/25 HPと10/40 HPを製造しました。

スーパーチャージャーの黄金期

1920年代には、スーパーチャージャーは高級スポーツカーやレースカー、ツーリングカーに搭載されるようになりました。ヨーロッパでは、ブガッティ、アルファロメオ、ベントレーなどが有名です。ベントレーブロワーはルーツ型スーパーチャージャーをフロントグリルの前に搭載し、その独特のデザインでアイコンとなりました。

1930年代には、ナチスドイツのグランプリカーであるアウトウニオンやメルセデス・ベンツがスーパーチャージャーを使用し、大きな馬力を発揮しました。この技術は第二次世界大戦でも重要な役割を果たし、すべての戦闘機は強制誘導装置を使用しました。

スーパーチャージャーの復活と現代

戦後、スーパーチャージャーは市販車からほぼ姿を消しました。しかし、カリフォルニアのホットロッド愛好家たちはルーツブロワーを使ってフラットヘッドフォードやスモールブロックシボレーから大きなパワーを引き出しました。

1980年代には、ランチアがベータボルメックスでルーツ型スーパーチャージャーを使用し、トヨタMR2スーパーチャージドも登場しました。1990年代には、ジャガーやメルセデスが再びスーパーチャージャーを採用し、フォードのライトニングやターミネーター・マスタングなどのハイパフォーマンスモデルでスーパーチャージャーが復活しました。

21世紀に入り、フォードはスーパーチャージャーを大規模に採用し、2003年のマスタング・コブラやGTスーパーカーなどで驚異的なパワーを発揮しました。また、ジャガーやメルセデスもスーパーチャージャーを採用し、GMも2009年のコルベットZR-1で参入しました。

終焉と未来

しかし、今日の高性能車ではスーパーチャージャーの利用は減少しつつあります。ターボチャージャーはスーパーチャージャーと同じ機能を持ち、燃費のペナルティも少ないため、より広く採用されています。現在、スーパーチャージャーを搭載した車は愛好者やアフターマーケットによって維持されています。スーパーチャージャーがその200周年を迎えることができるかは、これからの技術の進歩と市場の動向次第です