中国のSAICモーター、2026年までに固体電池の量産を宣言
電気自動車（EV）の実用性を大幅に向上させると期待される固体電池。これまで数十年間にわたりバッテリー技術の「聖杯」とされてきましたが、トヨタのような大手企業でも商業化には至っていません。しかし、中国の自動車メーカーであるSAICモーターが、2026年までに固体電池の量産に踏み切ると発表しました。
SAICグループのエネルギー技術会議で発表された内容によると、同社は2025年から「半固体電池」の提供を開始し、その後「全固体電池」を導入する予定です。半固体電池は一部の液体電解質を使用するものであり、まずはハイブリッド車や電気自動車（MG、Baojun、WulingなどのSAICブランド）に搭載される予定です。そして、2026年には完全な固体電池が登場する予定です。このタイムラインは、SAICが2021年に予測したものと一致しており、技術の成熟が計画通りに進んでいることを示しています。
世界の自動車メーカーに先駆けるSAICの挑戦
2026年に固体電池を実用化することは、SAICおよび中国の自動車産業が、世界の老舗自動車メーカーに対して大きなリードを取ることを意味します。特にトヨタは、この技術の最も著名な擁護者であり、固体電池を搭載したEVの試作車を既に道路でテストしています。しかし、トヨタは2030年まで大規模なバッテリー生産を開始する予定はなく、年間10,000台分のバッテリーを製造するにとどまる見込みです。一方で日産は2028年までにその目標を達成しようとしていますが、過去のEVリーダーシップを失った後の再建は容易ではありません。
中国自動車産業への影響
中国が固体電池技術を実現することは、成長を続ける中国自動車産業にとって大きなブーストとなります。多くの西洋諸国はこの動向に脅威を感じています。しかし、SAICや日産、トヨタのタイムラインが現実的であるかどうかはまだ不明です。固体電池はこれまで多くの科学的なブレークスルーが報じられてきましたが、商業的な実現には至っていません。また、この技術が商業化されたとしても、消費者の間でのEVの受け入れには文化的な要因を含む多くの課題があります。
SAICの発表は確かに注目に値しますが、実際の量産と市場への導入が成功するかどうかは今後の展開を見守る必要があります。
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